南アルプスの山のゴミ・社会実験 (2015)

2015/ 8/22(土)~24(日)
南アルプス:畑薙~茶臼岳~光岳(テント泊:往復)

標高946mの畑薙第一ダムから標高2、400mの茶臼小屋までが一日目の行程である。マイカー夜行運転・テント泊・老少年というハンデからすれば、ここを6時間45分で登ったのは誉めていい。

ちなみに最近のヤマレコから所要時間を拾ってみると、次に早かったのはバス利用・テント泊の5人組の男性(27歳)の7時間18分、第3位はバス利用・小屋泊まりの女性(35歳)の8時間02分であった。

老少年は、山小屋で払うお金はテント代のみとし、ビール・日本酒・コカコーラ・ポカリ・野菜・果物などもすべて担ぎ上げた。(見上げたものだ。)

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これはマナー違反です!(わたし)
(1日目の大汗と雨でぐしょぐしょになった衣服など)

結構な重量となったザックを担ぎ喘ぎながら雨の中、樺段へと登って行くと、ウィルキンソンの炭酸水のペットボトルが登山道に落ちている(置かれている)。中身は4割ほど残っている。今どきハイドレーションを使わないのかょ。腰を屈めるものの「ザックを下してまで回収するのはしんどいなぁ。」「3日後にまだあったら持って帰ろう。」「明日の土曜日と日曜日に多くの人が上り下りするだろうし、公徳心の旺盛な人がきっとたくさんいるだろうからなくなっているかなぁ。」などと考えて通り過ぎる。


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ハクレイ酒造の日本酒を飲むためのお猪口

3日目の下山は、光岳から畑薙ダムまでのロングコースである。山地図のコースタイムは11時間ほどだが今年の5月に同じコースを下った時もそれほどかかっていなかったので9時間を見込んでさっさと歩く。茶臼小屋に戻って来たときは既に4時間30分歩いていて、さらにそこから急な登山道を下ると、なんとウィルキンソン君が登山道から離れた木株の陰に隠されていた。

きっと、ゴミは気になるが自分では拾いたくないというジレンマを抱えた人がそうしたのであろう。この気持ちは人間の本心としてよく分かるのである。夏の南アルプス、湿度100%、ときおり小雨模様の切れ落ちた急斜面を上り下りする登山は苛烈を極める。しかし、木株の後ろに隠されたウィルソン君の姿は哀れだった。そうでなかったら拾わなかっただろう。登りの時に登山道上にあったのに、拾いたくなかったら何もしなければ、誰かがいつかはちょこっとした公徳心を発揮してくれるのに、口ではきれいごとを言うくせに、見えないところにわざわざ移動させたというその根性にも違和感を感じ、ウィルキンソン君をザックのショルダーベルトに挟んで横窪沢小屋まで行き、そこでザックの中に入れてあげた。

そうか、あれはウィルソン君が戻してくれたのだったのかな。茶臼小屋でテント泊の申し込みをした際、1万円札を落としたことに気付かず、テントを設営していると小屋番さんが「あんた、1万円落としただろう。」と言って知らせに来てくれた。