北戸蔦別岳頂上テン泊での「野糞」問題 (2015)

 最近の北戸蔦別岳の記録を見ると、チロロ林道終点の簡易トイレが足の踏み場もないほど汚いとか、その先の登山道・稜線でのもろ出しの「のぐそ(野糞)」がひどいことになっているらしい。水場であるトッタの泉にも野糞がされていたようだが、水場での糞をするのはまともな人間のすることではない。

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この稜線のどこにこれほどの人数を受け入れられるテン場があろうか?
 
 テント場での野糞の一番強烈な思い出は、2004年にピパイロ岳~1967峰~北戸蔦別岳~七ッ沼を往復したときの仙台のツアー登山御一行10数人がテン泊した1967峰鞍部の野糞だった。あまりにもひどすぎた。

 北海道では「山のトイレを考える会」が携帯トイレ使用の普及を呼びかけている。その掲示板には「最近トイレが近くなり出した私。尿とりパットや紙おむつを利用して登山してます。女子の皆様お試しあれ!」との信じられない投稿が載っているが、これは単なる浅はかな脱線であろうか。

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幌尻岳を見晴らす憧れのテント場

ところで、道外の登山者が北海道の山で携帯トイレを使った場合、レンタカーを借りて山に入り飛行機で帰るとして、その「糞」はどのように処理したらいいのだろうか。

答1 道の駅でごみとして捨てる・・・・・・・・・・×
答2 コンビニのゴミ箱に入れる・・・・・・・・・・×
答3 レンタカー会社に引き取ってもらう・・・・・・×・△
答4 空港のゴミ箱に捨てる・・・・・・・・・・・・×・△
答5 飛行機に載せて自宅まで持って帰る・・・・・・×
答6 山に登る前にうんこを済ませる・・・・・・・・×・△
答7 やはり野糞・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
使用済み携帯トイレだけではなく、旅行者が一般のゴミを捨てる場所はどこにもない。強いて言えば、御臆面もなくレンタカー会社に車を返却する際に「ゴミの処分をお願いしてもらっていいでしょうか。」とお願いして、引き受けてくれればよいが、格安レンタカーは「×」の場合が多い。だが、うんこが入ったものをただ単にゴミとして処理を頼むのはいけない。うんこが入っていると言うべきである。

よく、山に登る前にうんこを済ませよという教条的なことを言う向きもあるが、出物腫物ところ嫌わずというように、登山口までは便意がなくても山には行ってから明確な便意を覚えること無きにしも非ずである。理想的には携帯トイレの使用だが、その始末の問題のほか、夏はいくら密閉してもザックに入れた携帯トイレからの悪臭は、それを実践したものでなければ分からないものだ。

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テント場から幌尻岳(右奥)

よって、山でのうんこの処理は「7」の答えにならざるを得ない。その場合は
1 出したうんこはシャベルで埋めるか、落ち葉などで覆う
2 尻を拭いた紙はビニール袋に包んで必ず持ち帰る
ことを実践したい。

真冬の奥多摩・七跳山から大ドッケに向かう際、酉谷山避難小屋でトイレを済ませたにもかかわらず、七跳山を少し離れたところで急に便意を催した。雪が積もっていたから雪で覆うしかなかった。春になって雪が溶けたので見に行ったら、便は跡形もなくなっていた。

北戸蔦別岳で言えば、頂上テント場から1967峰方向に少し行った十勝側斜面が野糞スペースになっているが、稜線から見るとハイマツの中が逆「T」字形のスペースになっている。前年の野糞はほとんどその痕跡を見せてはいない。2015/6/13~15に北戸蔦別岳にテントを張った際、今年初めてと思われる野糞があったが、石で隠されていた。石を被せるぐらいなら潔く垂れ流しにしておけばいいのに。

参考書籍・伊沢正明著「くう・ねる・のぐそ―自然に「愛」のお返しを」