酉谷山の遭難事故(2016)

2016/ 5/ 5
酉谷山周辺での遭難事故について

 酉谷山を日帰りの予定で、4月30日に登った都内の62歳の女性が遭難したおそれがあるとのニュースを見た。5月5日現在、いまだ発見に至っていない模様である。

 この事故の発生により、このブログの親・ホームページである「やま旅・はな旅 北海道」の「酉谷山避難小屋の訪問記のページ
に、多く人のアクセスが見られる。

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 5月5日の酉谷山避難小屋のページへのアクセス数は、400件を超えている。この酉谷山避難小屋というマイナーなページへのアクセス数は、平時は15~30件程度である。

 酉谷山または酉谷山避難小屋へ向かう人はそれほど多くないが、酉谷山避難小屋を熱烈に愛する(私のような)人もいて、収容5~6人の小屋が溢れんばかりになるときもままある。だから、この小屋で宿泊を考えている人は、テントかツェルトを持参することがルール化しつつあるし、日帰りでもツェルトは持ったほうがいい。

 この女性は、東日原を起点に長沢背稜を周回するコースを取ったものとも考えられる。その際、道迷いで入り込むことが予想されるのは、酉谷山頂上からの「小黒」への踏み跡であろう。次に考えられるのは滑落だが、スパッと切れ落ちてその急斜面が相当の長さで谷に向かっているところがあるのは、
① 東日原から一杯水避難小屋
② 七跳山分岐~酉谷山避難小屋
③ 酉谷山避難小屋~タワ尾根分岐
④ 天祖山からの下山終盤
である。

 奥多摩秩父も、急斜面で足を踏み外したら致命傷になる場所は多く、「道迷いしても決して低い方(谷)に降りてはいけない」というのは、地元の集落に住む人の私への忠告であった。

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魔界「小黒」

 魔界を楽しみに酉谷山に登ったが、小黒は魔界ではなかったというブログ記事があるが、よく読んでみるとブログ主自身、道迷いで時間をロスしている。酉谷山避難小屋で同宿した人たちに「小黒で道迷いするから、私をガイドに雇わないか」と冗談を言うことがあるが、ゆっくり小屋を出て小黒に行くと、2組が小黒で迷走していたことがあった。小黒で道迷いしてビバークしたという人たちにも会ったこともあるし、依然として小黒界隈は魔境に違いないが、小黒の先にトラロープが設置されたこと、手製の小さい案内板が括りつけられたことにより、道迷いは少しは減っているものと思われる。・・・が油断は禁物!

 酉谷山から小黒界隈及びその先は難しいと言えば難しい、そうでもないと言えばそうでもないが、魔物が住んでいることには違いない。そうでなければ、ここでこれほど道迷い・遭難が多発する必然性はなかろう。昨年来不明の2人は、まだ発見されていない。一人は嘉右衛門尾根に入り込んだと思われ、ザックだけが見つかっているが、ご本人は発見に至っていない。嘉右衛門尾根に引き込まれないよう手製の標識が置かれているが、その位置が若干有為ではないから、被粘着のピンクテープを施し見つかりやすいようにしておいた。

【小黒・矢岳・宗屋敷尾根界隈のルート上の問題点】
 このルート上に、必要以上のテープ類がくくりつけられることである。林業のためのピンクの被粘着テープを樹林帯では多く見かけるが、これが登山用としてくくりつけられた場合に、林業用のテープに引き込まれる可能性がある。

 荷造り用のビニール紐をくくりつけるに至っては、言及する価値もないほどであり、このような始末に負えないものを使用するのは適切ではないということは、その理由を書くまでもないことだろう。

「やま旅・はな旅 北海道」はこのブログの親ページです。)