鎮魂のタワ尾根往復 (2016)

2016/ 7/11~12
酉谷山避難小屋

2016年4月30日に酉谷山界隈で行方不明となっていた武蔵野市の62歳の女性が、5月8日タワ尾根で遺体となって発見された。

今回タワ尾根を往復し酉谷山避難小屋に宿泊するに際し、そのタワ尾根が今どのようになっているかということに関心があった。

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死者が出た尾根であるから、道標等の設置はなくともテープ類は丁寧に付けられているだろうぐらいの変化はあると思っていた。

ところがこの赤テープ類、もともとあったものがことごとく取り外されていたのだった。あまりにもすっかりとなくなっている。残っているビニールテープもカッターで切り取られ損なっているようなものばかりである。

よくタワ尾根を使うが、これまでも根こそぎ赤テープを取り外されているのは見ていた。バリエーションルートにテープがベタベタあるのを見触りとばかり取り外した精神病質的な跡を見ると、道迷いをしてあるいは採るべきルートを採ることができず危険な箇所に足を踏み入れて命を落とした人の魂の存在を感じることのない病的なものを感じるのであった。

この女性は、登山道近くにある崖の約20メートル下の沢で登山中の男性に発見されたという4ことだから、(本来は巻くべきところを巻かず)尾根を歩き誤って転落し、全身を強く打って死亡したとみられている。

タワ尾根を長沢背稜に向かって歩いていて、この女性の魂はまだタワ尾根にあるように感じられた。だから、2日目のタワ尾根の下山時に女性の魂が迷うことなく東日原に降りられるよう心配りをしてきた。女性がなくなったと思われる大京ノクビレのほか1か所は間違うと大事故になる。

2日目、ウトウノ頭を過ぎ下っていると登ってくる単独の男性に出逢った。
「この先、道はどうなっているのでしょう?」と聞くので、「テープに従って向かって左側を巻くように通過するといいですよ。」と答えたが、あとでこの人のGPSログをネットで見ると、一度大きく下って8の字を書いてウトウノ頭に登っているのだった。

総じて今のタワ尾根は緑が濃くて同じような風景に見える。支尾根に乗り換えて下るところの間違えやすいところには虎ロープが張られている。しかし、精神病質的な人はこの虎ロープをも外している。自分の世界しか眼中にない人には困ったものだ。

もうすぐお盆を迎える。