生涯現役

 
靄のかかる山道を歩いて奥深く入ると一人男性がいたので、しばし会話する。
「いくつに見える?」
と聞かれる。
顔色よく若く見えるが、それは75歳前後という感じであった。
 
「もう80だよ。山歩きはいいね。」
「金のことを考えていつまでも仕事ばかりしていては山歩きができないからね。」
北岳、千枚岳、前岳・・・、登りたいね。」
「でも、年取ったからね。」
 
山の服装としては”ちょっとね”という感じだが、
キャノンのデジカメ最高機種というからEOS-1Ds Mark III、
それにハッセルブラッドの6×6を持ち歩いて写真を撮っているという。
かけるべきところに大金を惜しみなく使っている。
 
おかげで、LX-5を取り出す勇気なく、その場所の花は写さずじまいであった。
 
イメージ 1
 
その方と別れて逢瀬の場所まで足を延ばした。
この場所まで足を延ばす人は少ないと見え、逢瀬は密やかだった。
ほかの株はまだ蕾も出ていなかった。
この花は、
「昨年は素通りして行きましたね。」
「待っていたんですよ。」
と言っているような、いないような・・・・。