山で飲む日本酒 (福久娘は偽装酒?)

なにはなくとも、泊まりの山に登るときは日本酒がザックに入っている。
これまでは純米酒秩父錦」が多かったが、最近は、純米酒「天狗の舞 旨醇」がほとんどである。
理由は単純に価格とのバランスである。
 
前回の茶臼岳~光岳の際は、菊姫普通酒「原酒」を持ち上げたが、
この酒は普通酒でありながら1.8リットル2,700円という値段であった。
菊姫・原酒は、原料米に特A地区兵庫県吉川町産山田錦100%使用と表示しているが、
規格外米の使用ゆえ安くなっているのだろう。
ただし、この酒は甘ったるい。
 
そんな純米酒普通酒の違いについて、興味深い広告記事が11/12の新聞に載っていた。
富久娘酒造が多くの純米酒(49種)が、実は純米酒ではなかったということだった。
広告記事には書いていないが、実は福久娘の純米酒純米酒の規格に沿ったものではなく、
醸造用アルコールが入っているということだ。
MA(米(ミニマムアクセス米)は使っていないらしい。
しかし、規格外米をつかっているということは、問題ありあり。
最近流行の食品の偽装と同じで、MA米を使っていないということを信ずる根拠もない。
 
最近、魚の味噌漬け、粕漬けにはまって、日本酒を多用する必要から福久娘の紙パック純米酒を使ってい
たら、あれれ、このお詫び広告記事はこの酒パックのことも含んでいる・・・。
 
菊姫原酒は、山田錦を100%使っているが、純米酒のカテゴリーに入れておらず、
普通酒扱いとし醸造用アルコールを添加している。
それは、山田錦であっても通常、純米酒を作るに適した規格の米だからではないだろうか。
 
では、福久娘はなぜ醸造用アルコールを使いながらかくも大量の商品を純米酒の規格にないものを
純米酒と表示していたのか。それは、普通酒純米酒として売れば一升瓶1本当たり約90円の利益(紙パックの安い酒で)が上がるからであったのだろう。
 
そんなことで、興味を持って調べてみると、
規格外米を使っている酒を、そのとおり公表しながら醸造・販売している酒造会社が京都にあった。
京都丹後の白嶺酒造である。
 
白嶺酒造はまず名前がいい。山を登るものとしては。
次に酒呑童子である。酒呑童子が住んでいたのが「山」だったというところがいい。
そしてその酒は「ひょうたんからこま」だということ。正直がいい。
 
セールストークとして次のように書いている。
「ひょうたんからこま」は京都丹後の契約栽培された有機質肥料を使用した特別栽培米山田錦」の『規格外米」で造ったお酒です。
「規格外米」とは・・・
酒米は粒の大きさで等級が分かれており大きな粒ほど良いものとされこの等級から外れた小粒のお米のことを「規格外米」と言います。
小粒だけど山田錦、捨てるのはもったいない!それならこのお米でお酒を仕込んでみようということになりました。
 
さっそく「ひょうたんからこま」を注文した。
 
士農工商とか士農工商なんとかと言っていた時代がある。
その用法の適否は別にして、近代に入って使われていた意味合いは、
最近のニュースを聞いて分かる気がする。
特に人の口に入るものを生業にしている商売人が金儲けだけに執着して人を欺いている姿を見ると・・・。