パーティを組んで山を歩くということ

 山の会に属していたとき、どのような山にも、日帰りであっても泊まりの山であっても、夏でも、冬でも必ずメロンをザックに入れて持ってきて、皆が疲れたころにこのメロンを切って振る舞ってくれた人がいた。山で青果やトマトなどの野菜を食すると疲労もたちどころに回復するような気になる。ましてや、真夏の山、ハードな山では天恵の食べ物である。
 
 山小屋に着いて、あるいはテントを広げたあとにビールや日本酒をいただくことは至福の時を過ごすことになる、大人の大事な儀式であり、明日への活力となる。しかし、それも軽くはない。
 
 そのような物はザックの重量を増やすことになるので、荷物を軽くしたいという人には、持つのを忌避したいアイテムである。しかし、そのような、山では価値ある物を食べ、飲むことへの欲求は、たとえ自分が持ってきておらずとも抑えることはできない。誰かが負担していることを考えもせず当たり前のように胃に収め、自分はこんな山のスタイルを貫くと言っても、説得力はない。そんな当たり前のことを分からずに馬齢を重ねたくないものだ。