避難小屋を作るにも反対を唱える大地の人たち (2014)

 自力では地域経済を維持できないにもかかわらず、繁栄したこの国の恩恵を受け、あれこれ好きなことを言っている人たち。避難小屋をひとつ作ることにも反対だとか。トムラウシ大量遭難事故後の避難小屋建設計画があったころの話。
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 北海道新得町による山小屋設置の要望を支持します。
 失礼ながら〇〇〇さんはトムラウシの頂への道のりが長いことや花があることなどをもって小屋ができた場合、自然景観が壊れることを危惧され、北海道の財産としての保護を訴えておられます。
 また、山小屋ができることで安易な登山や軽装の登山者が増加することを危惧されていますが、国立公園である大雪山域は国民の共有財産であり、強いものだけでなく「弱者」も法の趣旨に沿って差別や格差なしに楽しむことができるべきであると思います。その上で、トムラウシ温泉からの距離を考えると、途中に山小屋があってもいいものと思うのです。

 なぜそのように考えるか?
 今回の遭難の原因はなんだったのでしょうか。犠牲者のほとんどがツアー登山者であったはずです。
 手元にある今年のツアー会社数社のパンフレットからトムラウシ登山を見ると
トムラウシ温泉からの日帰り往復をコースに取り入れているツアーが多く見受けられます。

 ちなみに、クラブツーリズムの「あるく」5月10日号をみると、「歩きごたえ満点のロングコース」として、東京から2泊3日の日程で、2日目にトムラウシ温泉から20kmを(往復で)歩いて日帰りすることとなっています。短縮口からですから昭文社の地図からみても往復で11時間、クラブツーリズム説明で12時間30分が必要です。このようなハードは歩行を強いて万一のときの対応が取れるでしょうか。
 商業として催行される登山ですから経費の面からの致し方ないのでしょうが、新得町は危機管理としての避難小屋の設置を要望しているのではないのでしょうか。
反対の前にその点の把握が必要ではないでしょうか。(ちなみに私はクラブツーリズムの営業を妨げる趣旨でこの意見を開陳しているわけではありません。その「あるく」5月10日号には、私の花の画像を無料で提供しております。)

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 12日は大雨で、山でも雷雨だったそうですが、翌日13(日)~14日(月)は素晴らしい秋空が広がり、さわやかな鳳凰三山を歩いてきました。
 13日はともかく平日の14日にも多くの登山者が入山していて人気のほどが分かります。ところで遭難事故で暗いニュースの北海道では、新得町が避難小屋の設置を環境省に要望したそうですが、もう少し山にも公のお金をかけて、明るくしてもらいたいところです。

 10月に上越マッターホルンに登り、大人気の茂倉岳避難小屋に泊まろうと思っていますが、ここは人口9000人弱の湯沢町が管理運営していて、この秋には雨漏りが酷い屋根を、町が葺き替えるそうです。

 北海道は「観光」を基軸産業と位置づけてその振興を図ろうとしています。それは、道外の観光客の誘致であり、外国人観光客の誘致であって、外国人については「アウトドア観光」も対象にしています。

 特に外国人観光客の誘致に関する振興方策の第一番目は「ホスピタリティの向上」と謳っていますが、ホスピタリティは施設や物でも発揮しなければホスピタリティ=ただの笑顔を振りまくだけになってしまうでしょう。

 今回登った鳳凰三山は、①夜叉神峠から②広河原から③北沢峠から④御座石鉱泉から⑤青木鉱泉から⑥甘利山から登ることができますが、いずれの登山口にも山小屋か宿泊施設ないし登山センターがあり、北沢峠から鳳凰三山を登って夜叉神峠まで歩いた場合の行程15時間の範囲に、登山口と下山口を含めると6つ、数え方によっては8つの小屋があり、テント場も7か所と豊富です。鳳凰小屋で会った山形から来た単独行の女性は、夜叉神峠小屋に宿泊し、鳳凰小屋で泊まって青木鉱泉に下りるとのこと。「余りにも展望がよく、山も素敵でなかなか前に進めませんでした。」とにこにこ顔で話していました。

 翌日は平日にもかかわらず、多くの若者、カップル、年配の夫婦、それに子連れファミリー登山で山はにぎわっており、天候もよく南アルプスの山を心ゆくまで楽しんだことでしょう。この山域は標高2700m内外、本州の山ながらハイマツとシャクナゲに広範囲に覆われた北海道の山を彷彿とさせる高山ですが、一方、天候悪化の際は低木しかないところは遮るものがなく大変な所になると思われます。

 新得トムラウシ温泉からトムラウシ山を往復するに、通常日帰りは無理だと思われますが、トイレなし、小屋なしで何がアウトドア観光、内地の客誘致、外国人誘致でしょうか。言葉もありません。南アルプスの小屋はテント500円、素泊まり3~4000円、食事付き7500円ぐらいが相場ですから、新得側に公費で小屋を設置し、有料で運営することもありではないでしょうか。

 そうでなくても、私の2年の北海道勤務の経験から、北海道の観光行政に携わる公務員、半官半民職員の多さ、赤字財政なのに臆面もないその優雅な仕事ぶり、組織の充実さに羨望を覚えたものですが、そのうちの2~3人の人件費を小屋の運営に当てれば、有料なんて言わなくてもいいのではないでしょうか。

 経済大国日本が山小屋一つ建てられなくてどうする、がんばれニッポン!
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 私も小屋設置に反対です。
 〇〇〇〇さんの言われるように「差別、格差なしに楽しむことができるべき」となると、超高齢者や体に障害のある人も楽しめるロープウエーや登山車道の建設だって是認されるべきです。ここは自然の保護を第一に考え、一定の歯止めがあって当然です。国立公園の主旨はすばらしい自然を守ることが第一の目的で、それを害さない範囲で利用されるべきだからです。
 
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 鳳凰三山と同じに整備しろとは言っていないんですが・・・。
 新得町は一棟作ってくれと言っていることに賛意を示したということ。
 誰もが楽しく山登りをしていたと言うことでご理解いただければと思います。

 論点は、プロが引率しても死者も出す長距離なんだから、避難小屋は危機管理、安全対策上あってしかるべきだということなんです。

 旅行業の集まりは、今回の事故を契機に場所取りをやめるようガイドラインで謳っていますね。 
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 北海道の山に興味がある者は押しなべて避難小屋設置に否定的な意見が多い。しかし、実際にそれなりに山に登っているかというと、そうでもない。というより、なんでも反対したがる年齢層の者は体力的にもう山に登ることが難しくなっているが、口だけは達者ということなんでしょう。