登山をしている場合か (2015)

1997年9月に刊行されたアメリカ人トマス・J・スタンリー著「となりの億万長者」(早川書房)の文庫版を読んだ。

退職後の生活を心配なく、かつ、十分に楽しむために必要な資金を残すためにはどうしたらいいかというような内容の本である。
要諦は
贅沢をしない
見栄を張って無駄遣いしない
投資についての勉強を十分に行う
ということと言っている。なるほどなるほど。

しかしもう遅い。
旅行に行き過ぎた。
家も持った。
新車も何度も買い替えた。
そして中年以降、山に夢中になって10数年、金を使い過ぎている。
そこまではいいだろう。

この著者が挙げる今後有望な職業は
①金融関係を扱う弁護士
②移民を扱う弁護士
③・・・
としている。

移民を扱う弁護士の仕事が有望な理由は、中国が南沙諸島周辺の油田帯のみならず台湾の資本(家)と国土を狙っているから、台湾人の米国移住が増加するからだという。今、何十万人の難民(と主張するものが)欧州に押し寄せている。しかし、台湾人の移住は正規な移民手続に則って行われるためその代理を行う者(弁護士)の存在が必要となる。

今、国内は安保法制で騒ぎ立てている政党やグループがいる。一方で、この著者が懸念しているような中国の覇権主義的,侵略的な動きをこの国の誰が言い当てていただろうか。著者は最低でも今から18年前(以上)に中国の20年後の今の本心を言い当てている。

やはり、日本人(私)は世界の動きになんの意識も働いていないのだなぁとつくづく思う。現状の守りの体制を維持すると、たぶん30年ほどたったら日本の島嶼の多くは実効支配されてしまうのだろうが、「島を返してくれ」と念仏でも唱えるしかないだろう。9条を守れとか平和を守れと言って他国からの干渉を排除できるのなら安い(易い)ことだ。13億人の国民を喰わせると言うことがどれほどの難事業家か分からないと他国の領域に触手を伸ばさざるを得ない事情は分からないだろう。

年収1,000万円程度の人は1億円の資産を蓄えるのは当たり前だと言う国柄に驚くが、資産家のうち、生涯のうちに新車を購入したり、新築の家に住むのは全体の25%程度だと言っている。

もう資産も築けない。
だがまだ団塊世代団塊次世代は年金があるじゃないか。
その上に健康ならば、井形 慶子さんのような考えで生活し、
ついでに山もいつまでも楽しんでいたい。