タワ尾根~雷雨の中の熊鈴の音 (2016)

2016/ 8/ 1~2
タワ尾根~酉谷山避難小屋(往復)

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夜8時の酉谷山避難小屋

北アルプス南アルプスも雨模様でどこにも行けず、ならば大雨警報が出そうな奥多摩なら人が来ないだろうと、タワ尾根~酉谷山避難小屋を往復することとした。

登山届を東日原派出所で書いてポストに入れると、警察官が声をかけてきた。2016年5月5日にタワ尾根の踏み跡から外れたところで遺体で発見された女性登山者の具体的な発見場所を聞いたところ、「長沢背稜から下りてきてモノレール軌道を越え大京ノコルに下りたところで、(間違った)難しくない尾根を下りて岩にぶつかってそこで落ちた。」と言うことだった。

そうか、そんなところがあったかなぁ、と思いながらタワ尾根を登り、大京ノコルに降り立ち、タワ尾根の主稜線(?)の左側を巻きながら左側(惣右衛門側)を見ると立派な支尾根と呼んでもいい尾根が派生していて、その先は大京ノコル付近でドン詰まり岩場がが待っている。

そこで稜線に出てモノレールに出合い、その派生する支尾根を俯瞰するようにモノレールを越えて振り返ると、画像のように、長沢背稜から下りてきた場合、視覚的にはまっすぐ行くのが自然に見える。実際には左側にカーブを切ってからすぐ右に向かって急なルンゼ状のところを下りて大京ノコルに出るのが正しい。

ここだったのか。明日の下山時に、ルートが分かるようにしてやらないとこの人はお盆には帰ることができないなと思いながら、小屋に向かった。

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長沢背稜から下りモノレールに出合い赤線のように行くと傾斜がある支尾根状になる(×)ここでやや左に目を転じて進むと、すぐ、右手にルンゼ状の急斜面が落ち込んでいるのでここを下りるが、尾根から大きくは離れず歩き大京ノコルに至る(◎)

2日目は、長沢背稜を歩いているときに雷鳴を伴う大雨に遭った。そしてもうすぐでモノレールだというところまで来ると、熊スズが聞こえる。大きなカウベルのようだ。「ガラ~ン、ガラ~ン。ガラガラ~ン、ガラ~ン。」と2,3回聞こえた。雨の中で視界はよくない。こんな大雨の中誰かが登ってきているのだろうろと先に進みモノレールのところまできたが誰もいない。人の気配もない。あれほどはっきり鈴の音が聞こえたのに・・・。

長沢背稜から下りて来てモノレールを越えた次が分かるように、下りるべきルンゼが容易に把握できるように非粘着テープを2か所に配する。

この方が遭難死された後にタワ尾根のテープ類を根こそぎ剥し取った人がいる。
その人に言いたい。あなたはタワ尾根をよく知っているかもしれない。しかし、少しは手加減してやったらどうだろうか。今日の降雨と鬱蒼とした木々に覆われて視界の利かない尾根で、魂はどのようにして帰えろうかとルートを探していたのではないかと、カウベルがはっきりと鳴った意味を思った。

(追記)2016/8/14
 タワ尾根及び小黒の赤テープに関する記事があった。確かにベタベタと赤テープを括り付けたがる節制という文字を知らない人、一方、根こそぎ赤テープをはぎ取ってしまう自分だけが満足し他人がどうなってもいいという潔癖な人。どちらも度を越している。