南アルプス・奥大井地域学術調査報告書

 
 
南アルプスは、もう少し歳を取ってからでいいかとのんびりしていた。ただ、大井川周辺の山に咲くある種の花については、すぐにでも見たくて昨年から計画を立てていたものの、深南部といわれるところのあまりにもマイナーな山なので、二の足を踏んで、結局去年も今年も計画倒れに終わっていた。
 
そんなとき、静岡県自然保護協会が昭和50年に発刊した「南アルプス奥大井地域学術報告書」を偶然手に入れることができた(まだamazonで売られているが、25,000円と超高価)ので、目的の花について見てみると、その記述はなく、調査に入った山域も異なっていた。
 
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 この地域のことについて調べていると、塩見岳赤石岳の間の地下を中央新幹線(リニア)が走ることになり、その工事が2014年から始まること、工事は二軒小屋先の林道東俣線が使われて行われることを知り、この報告書を改めて仔細に見ると、絶滅危惧種である植物をはじめとする稀少種がある種の条件によって極めて多い場所があることなどを知ることとなった。
 
 いったん工事が始まるとただでさえ狭い畑薙ダムから椹島ロッジ、ロッジから二軒小屋、二軒小屋からその先の林道におびただしい工事車両が入り込み、多くのダンプカーが廃土搬出のため行き交うことになり、林道斜面は土砂崩れ防止のためにコンクリートが吹き付けられるのは必定である。
 
 南アルプス奥大井地域学術報告書に記されている植物(樹木・草花)の種類は(文字だけで)40ページにも及ぶものであり、これが昭和40年代後半に行われた調査の結果であったとしても、開発の手が及ばず登山者も少ない場所がいまだ多くあることから、南アルプスの環境が激変する2014年までに、少しでも多くこの地に足を運んで花たちと対面する必要がありそうだ。