酉谷山から 東京オリンピック2020 (2013)

2013/ 9/6~7
秩父市から三峰方向に向かい、大血川渓流釣り場をすり抜け、東大演習林を辿って酉谷山へ登ってきた。
いつもの避難小屋泊である。
 
このコースを歩く人はほとんどいないはずだが、今回は老いの一徹ともいうべき、おびただしい荷造り用のビニール紐(特大の長さ)がクイナ沢から酉谷山の頂上まで、これでもかこれでもかというほどくくり付けられていた。
その光景は、秩父の山の景観を著しく損なっているばかりではなく、ちょっと時間が経てば見苦しい単なるゴミ以上の、取り扱いが厄介な代物となる。この御仁は酉谷山を往復したようだが、自分の用が済んだら回収していただきたい。ただし、これだけの貧乏臭いビニール紐を回収するには、相当時間を要するだろう。この光景はヌカビラ岳~北戸蔦別岳で見たのと似ている。山を嗜む者としての最低の礼儀も弁えない身勝手な行いの結果は、あまりにも醜い光景を晒していた。
 
酉谷山避難小屋では、平日ながら6人の利用者ということで、スペース的にはお互いの譲り合いが必要だった。しかし、おいしい酒とおいしいつまみ、おいしいご飯に山の話・・・、これだけでもうなにもかも満足。みなさまお世話になりました。
 
そして帰路、いつもの「みのもんたのウィークエンドをつかまえろ」聞きながら帰路に就く。みの氏は、オリンピック招致に使う費用は被災者に回せ、汚染水の解決に金を使え、オリンピックの東京招致はまかりならぬと申している。この歳になってもまだ子供のようなことしか言えない狭量な氏に同情を覚えた。世界に冠たるこの国家の実力をして被災地の復興、福島原発の収束とオリンピック程度の行事が同時並行的に進められないとしたら物笑いの種だ。氏の貧困な発想が恥ずかしい。反対論を言うのは誰でも簡単に口にできる。
 
オリンピック招致の間際になって福島原発の汚染水の漏えいを論うマスコミもマスコミだが、そのような喧伝に乗らなかった国際オリンピック委員の豊かな見識に敬意を覚える。とかく我が国や我が国民を貶めて満足を得ている多くのこころの貧しい人々が、高円宮妃久子さまの凛としたお姿と素晴らしいスピーチを拝聴してどう思ったのだろう。公共の電波を使って好き放題なことを言うパーソナリティの老人、我が物顔で安っぽいビニール紐を美しい木々に括り付けて歩く輩とだぶって見えたのは致し方ない。そのようなもやもやを、2020年のオリンピックの東京招致決定が霧散してくれた。