ペテガリ岳~コイカクシュサツナイ岳縦走 第5日目(2005・8・3)

(第5日目)ポンヤオロマップ岳へ・8月3日
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(ペテガリ岳の頂上を越え1647mから1839方向を見る)

4時30分、テントの外は吹き荒れている。携帯電話のサイトで雨雲の状況を確認すると、今の雨雲が通過した後、天候はいったん落ち着くようである。それを待ってテントを撤収し、6時に出発する。この先、ヤオロマップ岳までは4kmある。この天候でこの起伏が多い稜線を安全に歩くためには少しでも荷を軽くしなければならない。どのくらい役に立つか分からないが、ウィスキーやかさばる生野菜などを放棄する。

カムイビランジ植生地
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カムイビランジは急斜面の岩場に咲く
ヤオロマップ岳へは4kmあるが、今日はこれまでにない風雨であり、槍ヶ岳を目指して西鎌尾根を進んだときに匹敵する強さである。体を持ち上げられるほどではないが突風に注意して進む。1569mからいったん下り、ヤオロマップ岳へと向かう。ヤオロマップ岳までは岩場混じりの厳しい登りになるが、ウサギギクの鮮烈な黄色い花が慰めとなる。
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13時、ようやくヤオロマップ岳の頂上に着く。ヤオロマップ岳は1839峰へのベースとなる場所である。しかし、1839峰の稜線はガスで見通しが利かない。ペテガリ岳からここまでは人に逢わなくても不思議ではないが、ヤオロマップ岳には誰かがテントを張っているだろうとの目論見は外れた。風雨のテント場に人影はまったくない。風を避けて昼食を摂る。
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せっかくたどり着いたヤオロマップ岳ではあるが、もはや1839峰へ行こうとは思わない。いかにして下山するかが最大の関心事となっている。事実上ペテガリ岳からここまで、さらにここからゴールの札内ヒュッテまでは完全に未知のルートである。最終日の明日のコイカクシュサツナイ川を下ることを考えると、ここからさらに進んで夏尾根の頭まで行きたいところだ。1752mに向けて出発する。
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ヤオロマップ岳から先は道がしっかりしている。1839峰を訪れる人が多いからだろう。ハイマツの枝は整理されてはいないが、ピパイロ岳から北戸蔦別岳までの稜線のように、一級国道と呼ばれてもいいだろう。15時30分、ヤオロの窓を通過してすぐのテント場に着く。コイカクシュサツナイ岳まではあと1.7kmもあり夜も近い。多少は風も避けられるようなので、ここにテントを張ることにする。ペグは厳重に打った上岩塊を使って固定し、張り綱もしっかりと張る。

稜線に咲くカムイビランジ
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(右斜面はこの角度で切れ落ちている)


昨夜と同様に頭から靴の中までずぶ濡れである。雨もしきりに降り続く。しかし、テントの中に入ればゴアテックスシュラフカバーのおかげで、唯一シュラフの中だけは乾燥している。シュラフの中に身体を入れる。今夜の降雨はひどい。バラバラっと大きな音を立ててテントに雨が打ち付けられる。谷から吹く風に乗った雨が換気口の隙間から飛び込んでくる。風でフライシートが点と本体に接触し雨が浸み込んでくる。テント底には水が溜まりシュラフカバーにも容赦なく水滴が襲う。心臓の鼓動が早くなってくるのが分かる。