東日本大震災秘録 自衛隊かく闘えり

実家が津波に襲われた即応予備自衛官が、被災後7日目に発せられた招集命令に応じ、災害救助に当たった貴重な話が書かれている。
延べ1か月の任務を完遂し帰ってきた同氏の第一印象というのは、
「任務を終えて帰ってきた時、(塩釜の)パチンコ店の駐車場が満杯だったのを見て、複雑な心境になりました。」
というものだった。
 
自衛隊災害派遣での健闘ぶりに感謝した学校教職員は、(本書の取材に応じ)
「最近のマスコミは、被災者やボランティアばかりを取り上げて、我々のために最も尽力して下さった自衛隊の方々にスポットが当たるということは本当にうれしいです!」
と語っている。
 
特にNHKが最近でも頻繁にボランティア団体の活動を取り上げているが、本書のように真に災害救助に専心した自衛隊等の活動を正当に取り上げる必要がある。
 
人の血が流れている限り、自衛隊員に寄せる被災者の感謝の気持ちを本書で読んで涙が流れ出ない訳がない。乗客の命を預かる北海道の公共交通機関のあまりのも常識はずれの体たらくを知るにつけ、国民(乗客)のために働くということの意味が分からなければ、本書を2,3ページ読めばいい。そんないい本だった。